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New York Edge Housing Nisshin Kogyo Competition

Location / New York
Proposal / 1997 
Design / Hideki Tamura

第24回日新工業建築設計競技 
2等案 / Second Prize

New York Edge Housing

ニューヨーク市は1993年のウォーターフロント総合開発計画の施工以来、治安が悪化し荒廃の一途を辿るハドソン川一帯の再開発に着手している。都心と海外を結ぶ主要交通手段が海路から空路へと移行する60年代に至るまで、貿易港として繁栄したかつてのこの一帯の水平な街並みは、全長4マイルにも及ぶ河岸公園として蘇える予定だが、現状は「公園維持のための資金供給」という名目で大規模な複合スポーツ施設が3本の埠頭にまたがり建設された状態にとどまる。 公園内にはこのような「開発のためのノッド(結節点)」が3箇所設けられる予定であるが、これらの施設利用者の交通が果たして公園利用者の交通と有効な関係を結びえるかという点で疑問は残る。つまり施設利用者の交通にあやかる副次的な公園内への流入を見込むにせよ、また公園自体のパブリックな交通で自立を図るにせよ、長期的な視点で見れば政権や経済の変動に翻弄されるがまま、やがて危険区域へと逆戻りする恐れは拭えない。ここに示す計画は下記の手続きを踏むことで、別の対処のあり方を提示するものである。

1. この公園の一埠頭を対象に、集合住居の導入によるプライベートの交通を生成し、公園利用者の交通とともに地勢化することにより相関させた上で、規則的な角度の変化を持って連続する4列の壁面群を配置し、環境と行為の連結を強化する。即ち、壁と地形のエッジが遮蔽する風景は、人の移動に伴い規則的に開閉されることで、移動の経路が予見され、更なる移動が生起することにより、両交通の基本的な動線を規定する。

2. 各戸屋上をその内部への、そして公園内交通停留地としてのベンチへの、両アプローチを共有するセミ・パブリックな領域とすることによって、権利上の領域を侵しあうことなく、公私領域間に他者、並びにエッジによる遮蔽を介しての視覚上の欲望交換(見る-見られる、隠す-隠れる)、ひいては言語によるコミュニケーションを誘発し、かつてのイベントフルな環境を呼び戻す。

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